ひまわり 80

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「見合いを受けたのは、何とかしなけりゃ、俺自分の人生ダメになりそうな気がして。俺なんか、平々凡々な人間なんだから、この辺で世間並みの人生に軌道修正しなけりゃって」
 元気は、「それで?」と先を促しながら、ローストビーフを摘む。
「うん…結局、親戚の薦める人と見合いしたのはいいけど、結婚とか、そういう気にはなれなくてさ。でも将清にはつい見栄張っちゃって、つき合ってるなんて言っちまって…そしたら、先にあいつの方がゴールインさ。ハハ…何やってもあいつには勝てなかった」
 優作は一息にグラスを空ける。
「笑えるだろ? その話聞いた途端、俺、足元から地面が崩れてくみたいな気がしたよ。ああ、これで、俺の横からもう将清はいなくなるんだって思ったら……もう、俺、どうしたらいいかわかんないよ……」
 優作は膝を抱えて顔をそのまま伏せてしまう。
「あのさぁ、お前が軌道修正しなけりゃって思ってるのは、よーくわかったけどさ」
 元気は徐にポケットから携帯を取り出し、文字を打ち込みながら言った。
 顔を伏せたまま優作はその次の言葉を待っているが、「うん、このローストビーフ、んまい!」と元気は茶々を入れるので、優作は思わず顔を上げる。
「お前、俺が何言うの、期待してんの?」
 途端、辛辣な響きを持った元気の言葉。
「お前が平凡か平凡じゃないかなんて、んなこた俺には関係ない。俺が将清なんかととっとと別れて、田舎で嫁もらえって言ったら、お前、そうすんの?」
「元気…」

 


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