ひまわり 81

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「将清がどうした、将清がこうしたって、言うけどさ、要はお前がどうしたいかだろ? 他人に危害を及ぼさない限りはさ。このご時世、物分かりが随分よくなってきたような顔をしているけど、現実問題、お前がいわゆるマイノリティで生きるとか、まあ、家族にはそんなの許せないって思われるかもしれないが。せいぜいその程度だ。んなもん、お前にだって、百年後には平凡だろうと何だろうと、てーんで関係なくなってんだぜ? どうだ? 俺の予言は正しいだろ?」
 喫茶店のマスターの顔とは別の、冷ややかで厳しい顔の元気を知っているのは、長年友人をやっている人間だけだ。
 穏やかそうな表情ばかりに慣れきっているところへ、バクダンを落とされて、みなは時折驚くのだ。
「大体大学お前ら知り合ってから何年たつと思ってんだ! ウジウジ、グタグタ、やってんじゃないよ」
 ビクン! と優作の肩が飛び上がる。
「お前、嫁もらわなきゃとか、将清に女がいるとか、違うだろ? お前、将清が好きなんだろーが? だったら、とっととやつにそう言えばいいだろ。それができないんなら、すっぱり諦めちまえ! わかったか?」
「う…ん」
 勢いに押された形で、優作はコクリと頷く。
「ったく、煮えきらないやつだな。………まあ、俺も人に言えたギリじゃないんだが」
 元気はフンと鼻で笑う。
「現実社会ってのは、自分で行動しないと前に進まないの。待ってたって、王子様が迎えにくることもないし、正義のヒーローが駆けつけてくれるなんてこともないの」
 そう結論づけると、元気は、さてと、と立ち上がる。
「まあ、一晩飲んだくれて、あとはすっきり頭冷やして考えるんだな」
「え…帰るのか?」
 殆どすがるような目で見あげる優作は、すっかり泣き上戸になっていた。

 


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