ひまわり 82

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「うーん、そうだな、俺を嫁にもらうんなら、ツインじゃなくてせめてダブルのスイートとってくれなきゃ」
 そんな冗談もかわせない優作の目からまたポロリと涙が零れ落ちる。
「リュウの散歩もあるし。それに、違うんじゃないのか? そういう目で見る相手は。携帯呼び出してみろよ。将清のやつが飛んできてくれるかもしれないぜ」
 バイバーイ、元気はにっこり笑ってドアを閉める。
「もう、十二時か。いい加減飲んでたんだぁ」
 腕時計を見て、元気が顔を上げた、その時。
 猛然とこちらに向かってくる長身の男がいた。
「…いたよ…待ってるだけのやつのところに駆けつけちまうバカなヒーローが…」
 唖然としている元気に、その男が気がついた。
「元気! あいつ、そこにいるのか?」
「まずは教えてやった礼をいうとこだろ? 将清」
 腕組みをした元気は将清を詰る。
 泣き上戸の優作に白状させながら、仕方なく優作がここで泣いていると将清にラインしてやったのだ。
「お前、さっきは優作が来てるなんてことひとっことも言わなかったじゃねーか!」
 途端声高に喚く将清にとりあわず、元気は続ける。
「優作をあんなに泣かせてるお前に会わせていいもんか迷ったんだよ」
 元気はたまに降ろしている髪を無意味にかきあげる。
「見合いして軌道修正しなけりゃってさ」
「何だと!? 優作のやつ、おかしな誤解して、また俺に対抗したつもりで結婚するとか冗談じゃない!」
 大きな男が情けない顔をする。

 


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