「どんだけ電話しても出ねぇし、あんなやつとべたべたしやがって……」
吐き出すように豪が口にする。
「言っとくが、………やつはどっかのプロダクションのイカレたヤロウだ。俺にはあんなのを相手にする趣味はない…」
まだ息も整わないまま、元気はやっとそれだけ言った。
「わかってる。一平もあそこにいただろ? やっぱり、また一平んとこに戻る気だったんだろ! 俺は許さねぇからな!」
がばっと身体を起こして、また豪は元気を見下ろした。
「勝手なこと抜かすな!」
元気も負けずに言い返す。
「ぐちゃぐちゃ言い訳しながら、結局あの女とよろしくやってたのはてめぇだろーが」
するとややあって、豪はクスリと笑う。
「……何がおかしいんだ」
「たまには元気も妬いたりするんだ」
今度は元気の頭が沸騰する番だった。
「誰がだよっ! 俺は………」
深いキスが元気の言葉を遮った。
「あんな女とどうかなるわけないって」
幾度も幾度もついばむように、キスが繰り返される。
とびきり甘く。
ああ……
元気は心の中で呟く。
結局こいつの腕の中に戻ってきたのか……。
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