夏を抱きしめて43

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「いい加減にしてくれ」
 元気は怪訝な表情でみっちゃんを見る。
「そこでだ」
 みっちゃんはもってきた封筒から何やら紙を取り出した。
「ここに元気のサインをくれ」
「え?」
 渡された紙をまじまじと見た元気は、「何だよこれ、契約書って…」と喚く。
「こういう迷惑を被ることがないよう、お前にはそこにサインをして、晴れてうちの社員になる義務がある」
「おい、姑息だぞ!」
「頭脳派と言ってくれ」
 元気の抵抗もみっちゃんにはどこ吹く風だ。
「お前がうちの社員ってことになれば、万が一の輩が出てきても、この契約書が校門様の印籠に変わる、と」
「卑怯だぞ! 一平の差し金だろ!」
 それまでだまって聞いていた豪も口を挟む。
「恋に盲目になっているバカは引っ込んでろ」
「何だと?」
 どうどう、と元気が豪をおさえる。
「サインしたって、俺は戻んないぞ」
「それは元気の自由だから安心しろ。時々、イベントに顔を出してくれれば。それとまた曲を提供してくれれば、こっちもそいつとどんだけいちゃつこうと田舎にひきこもろうと、何も文句は言わない。何、非常勤みたいなもんよ。もちろん、労働に見合ったギャラは払う」

 


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