夏を抱きしめて44

back  next  top  Novels


「……ふうううう」
 元気は大きく息をついて、テーブルの上で契約書にサインをした。
 するとみっちゃんは、ふっと怪しげな笑みを浮かべる。
「それに、いろいろと浅野がプロジェクトを考えてるみたいだし」
「おい、何だよ、そのプロジェクトとかって!」
 元気は怪訝な顔でみっちゃんにくってかかる。
「さあ、その時がくればわかるんじゃね?」
 そらとぼけるみっちゃんを元気は睨みつけた。
「くっそ! 浅野を社長に据えてるけど、実質はみっちゃんが牛耳ってんだよな」
「俺は現場で動くのが好きなんだ」
「なーに、テレビドラマの刑事みたいなこと言ってんだよ」
 二人は笑う。
「おい、元気、ほんとに、戻る気、ないんだよな?」
 二人のやり取りをおとなしく見ていた豪が恐る恐る伺いをたてた。
「ない」
 ほっとした豪に、「今のところは」とつけ加えて元気は豪の気持をアップダウンさせた。

 もう一泊くらいできないのかとおずおずと尋ねてみた豪に、「店があるからな」と思った以上にすげない元気の答えが返る。
 ゴミになったのと同じフォーマルスーツをデパートで豪に買わせ、毛利に電話をしたら会社に持って行ってるというので、会社に寄って預けていた引き出物を受け取った。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ