そんなお前が好きだった106

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 井原の様子に苦笑しつつ元気が言った。
「めんどくさいよな、親って」
 響が断言する。
「ほんとですよね、うちもどうするんだってうるさくて。まだ結婚とかって気にはならないって言ってるのに」
 それまで黙って聞いていた紀子が口を挟んだ。
「克典くんてフィアンセじゃないの?」
 響は紀子に尋ねた。
「えーー、一応、彼氏ではあるけど、フィアンセとかそういうのじゃないし。だってまだやりたいこといっぱいあるし」
 テーブルを片付けて戻ってきた紀子はさらっと答える。
「可哀そうな克典」
 元気が憐みの言葉を口にする。
「とにかく、披露宴とかはまあ、俺らには関係ないけど、本気で二人を祝福してやろうってパーティだから」
 元気は江藤と秀喜の話に戻した。
「いつ?」
「二人の都合がいいのが、六月の十二日の土曜日」
「響さん、予定どう?」
 井原が響の顔を覗き込んだ。
「俺はまあ、土曜日なら問題ないけど、ミニライブ?」
 響は元気の方を向いた。
「二人が主役だから、二人から好きな曲とかピックアップしてもらって、やろうかと」
「あ、それに、ぜひ、響さんのピアノ、やってもらえたらいいと思わないか?」
 井原が元気の説明に口を挟む。
「さっきさ、音楽室でいきなりリサイタルやってたんだぜ? 俺もう涙もんで」
「お前は大袈裟なんだよ。音楽部の女子にリクエストされてちょっと弾いてただけだろ」
 響は目を潤ませていた井原を思い出して笑う。
「あたしも聴きたい! 本物のピアノ!」
 紀子が言った。
「アップライトなら、入らないか?」
「え、ここにか?」


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