そんなお前が好きだった113

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 想定外の井原の出現に驚かされてから、響は対応に苦慮することが多々あったものの、とりあえず今の井原は高校時代の井原ではないのだと、そう自分に言い聞かせ、あくまでも同僚として、井原が荒川先生とつきあうのであれば、それを応援してやるくらいの度量をもたなければと、そう覚悟していたのだ。
 なのに、井原は響の覚悟を軽々と飛び越えて告白なんかしてきた。
 タイミングがどうたらとわけのわからないことを口走りながら。
「俺にどうしろって言うんだよ!」
 突然大きな声を出したので、入念に毛づくろいをしていた、にゃー助が顔を響に向けた。
「あ、悪い、何でもないから」
 猫がその言葉を理解するかどうかはわからないが、にゃー助はまた毛づくろいに戻った。
 つきあうっていったって………。
 流行りみたいだし、いんじゃねって、尾上の言ったようにそう簡単にはいかないだろう。
 変わってない、俺らしいって、どういうことだろう。
 尾上の言葉が今頃になってはてなマーク付きで脳裏に浮かぶ。
「いや、問題は尾上の発言とかじゃなくて………」
 正直、どうしたらいいか響には皆目見当もつかなかった。
 逃げ出すにはそれこそタイミングが悪すぎる。
 NOと答えて、井原の頭の中から俺を締め出させるには、教員同士という状況はふさわしくない。
 できれば井原とは仲良くしたかったのに。
 仲良く、友達でいられればいいんじゃないのか?


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