そんなお前が好きだった12

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 戻れるものならあの頃に戻って、もう一度高校生をやりなおしたくなる。
 そしたらもっと、たくさん友達と遊んだりボールを蹴ったり、井原とももっとたくさん話したり笑ったり………。
 あーあ、何考えてるんだ俺は。
 響は自分に呆れて笑う。
 と、その時。
 ガッシャーーーーーーン!!!
 ちょうど響が外を見ていた窓の隣の窓ガラスを突き破ってサッカーボールが飛び込んだ。
 響が驚いて固まってしまったのは、ボールが飛び込んでガラスを割ったことではない。
 まるであの時と同じことが目の前で起こったからだ。
「うっわー、すみませーん!」
 走ってきて窓の外で響を見上げた生徒が大きな声で言った。
 響は一瞬、井原がそこに立っているかのように錯覚した。
「ひええええ、すみませーん、怪我なかったですか?!」
 真新しい学生服のひょろっと背の高い生徒が、真顔で響を見つめていた。
「おい、キョーちゃん! 大丈夫かよ?!」
 いつのまにか教室のドアを開けて入ってきた生徒が、でかい声で響に駆け寄った。
「お…前、寛斗! 何やってんだよ!!」
 我に返った響はがっしりとした体形の割に笑うと可愛いと評判の顔を見上げて怒鳴りつけた。
「いや、怪我したかと思って心臓バクバクだったぜ。どこも怪我ないな? よし!」
 にっこり笑う寛斗の頭を響は手ではたく。
「あ、暴力教師はいかんぜよ」
 その程度へとも思っていない顔で寛斗は言った。
「どこ見て蹴ってんだよ! 部長のくせに」
 三島寛斗はこの春三年生になるが、開業医の息子の宿命で理系クラスにいる。

 


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