そんなお前が好きだった62

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 井原がさっきの続きに戻って聞いた。
「母親一人だし。リュウがいるし、店、近いんだよ」
「リュウって?」
「マメシバ」
「ワンコいるんだよ。可愛いぞ」
 響が笑顔を見せる。
 すると元気が携帯を見せる。
「携帯、ワンコかよ?」
 呆れる井原に、響も携帯を突き付ける。
「にゃー助? 可愛いな」
「発言に差別がある」
 元気が文句をつける。
「ってか、俺の言いたいのはだ、お前の彼女はよ? 東京在住とか?」
 井原が突っ込んだ。
「いんや、この街在住」
 答えたのは東だ。
「東京から追っかけてきて、この街に移り住んだ」
 元気は渋い顔を東に向ける。
「え、じゃ、ライブの時、来てたのかよ?」
「残念ながら、仕事で東京にとんぼ返り」
 井原の追求にはまた東が答える。
「お前、ちゃんと紹介しろよな、俺に」
 腕組みをして何も言わない元気に井原は突っ込んだ。
「そのうちな」
 元気は適当に答えてビールを飲み干した。
 既に響は元気の恋人である坂之上豪には顔を合わせていて、豪は頑丈そうで気さくで明るい男で、元気にメチャ惚れしているのを隠そうともしていない。

 


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