そんなお前が好きだった7

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 元気は微笑んだ。
「お前はきれいだからいんだよ」
「響さん可愛いじゃないですか」
「可愛いとか言うな。ロックスターならな。第一、真夜中徘徊って、うちのニャー助が窓から飛び出して、それこそ頭振り乱して探してたんだよ」
 手振り身振りで響はぶちまける。
「なるほど、で、猫、見つかりました?」
「何時間も探して途方に暮れて家に戻ったら、あのやろ、ちゃっかり置いてあったカツブシにがっついてたよ」
 ハハハと元気は笑う。
「笑え笑え。くそっ!」
 身長的には一七六はあるのだが、小づくりな顔と白い肌、細い骨格から華奢に見える響だが、結構毒も吐く。
「しかしもったいないな、天才的なその才能を」
「だからもう、人に聴かせる気はないの」
 元気はいかにも残念そうに、下げてきたカップを洗う。
 すると外に足音が聞こえたと思ったら、ガンとドアが開いてどかどかと男が入ってきた。
「うーーーー、さぶぅ! ああ、やっぱここにいた。キョーセンセ、とっととフケちまうんだもんな」
「東、終わったんか? 卒業式」
 元気が入ってきた男に声をかける。
「おう。すんげー雪んなってさっむいのなんの、あっついやつ頼むわ」
 雪を払いながらぐるぐるに巻いたマフラーだけとると、東は響の横に座る。
「卒業生がキョーセンセのこと、探してましたよ」
「なんで?」
 響はモコモコ着こんだ東に聞き返した。
「そりゃ、最後にキョーセンセの顔が見たいに決まってるやないですか」
「こんな顔見たって面白くも何ともないだろ」
「わかってないなー、もう」

 


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