そんなお前が好きだった74

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 井原は目を細めてにゃー助に笑いかけると、先に外に出た。
 スニーカーに足を突っ込んだ響はドアを閉めて鍵をかける。
 井原はシラカシの樹を仰いで腕を上げて伸びをしていた。
「すっげ、いい天気。俺の行いがいいって証拠っすね」
「言ってろよ」
「車、門の前に停めてあります」
 ジープレネゲードの四WDだ。
 割とごついタイプだが、カラーが白なのでまだ馴染みやすい。
「いい車じゃないかよ。俺なんか中古のヴィッツだぞ」
 前後にドライブレコーダーがつき、ナビといい最新装備だ。
「こいつも中古ですよ。いい車って言うなら、元気のランドクルーザーじゃないすか」
「ああ、でかいよな。でも器材積むし、あの黒、元気に似合ってる感じ」
「まあ、そうっすね」
 ちょっと拗ねたような口調の井原に、響は苦笑する。
「何だよ、車で元気と張り合ったってしょうがないだろ」
「まあ、そうっすね」
 響はくすくす笑いながら、ドライブレコーダーに目を止めた。
「俺の、格安中古で古いからドラレコついてないんだよな。そのうちつけてもらわなけりゃ。やっぱ前後いるよな。ナビとかも取り換えてもらわないと」
「え、業者に頼まなくてもそんなの俺やりますよ? いくらでも」
 俄然、声のトーンを上げて井原は響を見た。
「こら、前を向け。お前できる? だったら頼もうかな」
「任せてくださいよ、これでも物理やってたんすから」
「物理と何の関係が?」
「まあまあ」
 オーディオもいい。

 


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