そんなお前が好きだった92

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 ただその青山が音楽部に入ったのは、当初の噂通り、あとの川口麻衣、島田彩乃の二人とともに寛斗目当てだというわけで、三人一緒になって寛斗がやってくると寛斗を取り囲んでまずおしゃべりだ。
 池田、三輪田の二人の新一年生男子は二人ともピアノを習っていたらしく、ある程度音楽には慣れているようだが、こちらは瀬戸川や志田らにチェロの話を聞きながら、弦楽器にも興味を持っているらしい。
 瀬戸川はそんな新入部員に音楽部の将来を期待しつつ、月末に迫ったコンクールの練習に余念がなかった。
「すんげ、ほんとに音楽部って感じだな」
 ピアノの寛斗、チェロの瀬戸川、バイオリンの志田、フルートの榎が演奏を始めると、新入部員の五人も真面目に聞き入っている。
 後ろで聴きながら、チェックをしていた響の横に、いつの間にか井原が立っていた。
「またお前、天文部はどうしたよ?」
「だからエリートたちがやってるから大丈夫だっての」
「やっぱちょっと、フルートが弱いけど、仕方ないよな」
 響はうーんと腕組みをする。
「寛斗、結構やるじゃん、ピアノ」
「新入部員みんな、ピアノ経験者」
「うへ、最近の子は、お稽古事すごいらしいからな。ピアノはもとより、お習字水泳バレエサッカー」
「最近の子はってお前もピアノやってたんだろ?」
「手慰み程度。ってか、今、軽音部と音楽部に分かれてるのな。俺の時はクラシックもポップスもロックも同じって感じだったけど。ほら、元気とかは部活じゃなくて自分らでバンドやってたし」
 確かに、と響も当時の音楽部を思い起こす。
「軽音部は部員数多いけど、音楽部に五人とか上出来だよな。あとは何とか抜けるの阻止するために、寛斗をたまにサッカー部からラチってくるって瀬戸川が」
「しっかりタズナ握ってるな、彼女」

 


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