そんなお前が好きだった94

back  next  top  Novels


「ガリレオ先生って、なんか、表情がくるくる変わるんだよね」
「そうそう、すごくきりっとして物理学博士って感じで専門用語まき散らしてたのに、昼休み、携帯でニャンコの動画見てほんとに泣いちゃうし」
「きゃ、ウソ、可愛い~、ギャップ萌え!」
 ガリレオというキーワードが耳に引っかかって、響は部活が終わったあときゃぴきゃぴ騒いでいる女子三人を見た。
「井原先生がどうしたの?」
 一年女子よりも先に井原ファンであると言いたげな瀬戸川が口を挟んだ。
「後ろ脚がマヒしてた仔猫がリハビリで動くようになったって動画」
「お昼にあたしたちが見てたら、ガリレオ先生がどれどれって」
「見たらポロって泣いちゃったんです、先生」
 瀬戸川は笑顔で、「涙もろい人は優しいのよ」と言う。
「喜怒哀楽がはっきりしてて、何か少年のままって感じですよね~」
「オッサン臭くないし」
「柿下センセのが、ずっと上みたいじゃない?」
 女子三人のおしゃべりと笑い声は音楽室を出て廊下からも聞こえていて、響はついクスリと笑う。
「若いわ~、あの子たち見てるとオバサンになったって気がする」
 チェロをケースにしまった瀬戸川がぽつりと言った。
「十七歳でオバサンとか、やめてほしいけど」
 響は軽く抗議した。
「感覚的なものです。あたしも一年の頃はあんなだったかなとか」
「俺なんか君らを見てて、俺の高校時代はもっとガキっぽかったかなとかいつも思ってるけどね」
 瀬戸川は笑った。
「キョー先生は井原先生よりなんか年齢超えてるって感じ」
「ええ?」
「だって、制服着てそこにいてもおかしくないっていうか」
「何、俺ってオッサンになってもガキっぽいってこと?」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ