雪の街16

back next  top  Novels


「今から来るって? お前、仕事……、え、安房峠? お前、それ無謀じゃん! すんげー雪だぞ」
 大きな声を出したので、みんなが一斉に朔也を注目する。
「ああ、わかった。とにかく、ゆっくり、ゆっくりでいいからな。気をつけろ、わかったな?」
 携帯を切ると、朔也は難しい顔をして舌打ちする。
「松田さん? 車で来るの? ひょっとして」
 元気が聞いた。
「ったく、あのバカ」
 何もわざわざ来なくていいのに。
 イブは二人で過したい、だなんて。
「おお、松田もくるのか? やつと今でもつるんでるんだ? 確か、建築事務所かなんかにいるって言っとったな。よおし、そしたらライブ終わったら、山崎とかも呼んで盛り上がろうぜ!」
 朝倉はもうやる気満々だ。
 この分だと、どうやら二人きりってのは無理そうだぞ、清隆。
 朔也はくすっと笑う。
「松田もお仲間なん? あいつ、昔は女にふられるたびに、元気んとこきてたけど、ここんとこ見ないね。またアフリカでも行ってたの?」
 歯に衣着せぬ言葉で、紀子は言ってのける。
「紀ちゃん、またそういう悪口雑言はダメ」
「だーって、事実じゃん。松田ってさ、見てくれはいいんだけど、でかい図体で猪突猛進っつーか、あれじゃ、女の子も引くよねー」
 元気にたしなめられてもどこ吹く風で、紀子は付け加える。
朔也はあまりの的確さに噴き出した。
「確かになー」
「ひょっとして、あれじゃねー? ほら、あいつ、高校ん時、野村亜紀とつきあってたやろ?」
 朝倉が古い話を持ち出した。
「ああ…」
 あの頃の、特に野村のことは今でも、朔也にはほろ苦い思い出だ。
「野村は名古屋の短大出て、二年で嫁に行っちまったし、ひょっとして野村のことが忘れられんのと違うか?」
 朝倉は一人で頷く。
「あいつ、あれで、結構純情なとこあるからな」
 朝倉の言葉に朔也は苦笑いする。
「野村って、今どこに?」
 つい聞いてしまう。


back next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です