雪の街2

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 この豪華な顔ぶれにTVの取材陣も殺到し、会場内は熱気とカメラのフラッシュで溢れ、ホテルの外にはどこからかぎつけたか、GENKIのファンが押しかけていた。
「くっそ、何とかしろよ、あの人ごみ」
 発表とインタビューが終わったところで、一平の声が朔也にも聞こえてくる。
「俺に言うな」
 そう切り返したのは、リーダーのくせに口が重い一平に代わり、スムースにインタビューに答えていた、マネージメントもこなすベース担当のみっちゃんこと古田光彦だ。
「未だに、人ごみとか、ごちゃついてるとこ、嫌いなんだよな、お前も元気も」
「元気っていや、一平、マジ、元気の店、強襲する気?」
 ドラマーが古田に尋ねた。
「やる気だな。そのために、一平のやつ、あの町でライブ決めたんだぞ、マサ。ライブのついでじゃなく、ライブがついでなんだ」
 ちょっと眉間に皺を寄せて古田は断言する。
「何か、すっげー寒いって聞いたぜ。ど田舎なんだろ? 山ん中の、雪が一メートルとか二メートルとか」
「げーーー、俺、やだよぉ、んなとこでライブやって、人が集まるのかよ~」
 メンバーの話を小耳に挟んだ朔也は、元気の店、という言葉に引っかかった。
 とっととホテルを出ようと思っていた朔也だが、ふいとメンバーを振り返り、つかつかと近づいていく。
「元気の店、って、もしかして、『伽藍』のことか?」
 男でも思わずはっとするような美貌の主にいきなり聞かれて、GENKIのメンバーは一瞬面食らったようだ。
 しかも、一平がサングラスの奥で睨んでいるのが朔也にもわかる。
「ご存知なんですか?」
 古田が落ち着いて問い返した。


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