雪の街22

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「松田! 会費」
「えー、もう終わりやろ? 負けといてよ、紀ちゃん」
「そうはいかないの。一平にだってちゃんともらったんだから」
 容赦ない紀子の言葉に、清隆は渋々財布を取り出して紙幣を渡す。
「遅かったな。俺はまた雪にでも埋もれたかと思ってたぜ」
 朔也は笑いながらビールの入ったグラスを渡した。
「お前な、それが遠路車を飛ばしてきたな○×○×にいう言葉か」
 急に音が大きくなったので、清隆の言葉はかき消される。
「るさいな、わざわざこんな雪の日にくるから悪いんだ」
 とはいえ、朔也も少しは心配していたのだ。
 清隆の顔を見て、心の中でほっと胸を撫で下ろした。
 
 
 
 
 アンコールの大声援にこたえて、GENKIのメンバーもクソ狭いステージで『SILENT KNIGHT』を合唱し、ライブはようやく終了した。
 客たちはハプニングにも大満足で、やがてそれぞれの家路につき、残ったのはGENKIのメンバーと涼子、それに元気のいつもの仲間たちだ。
「清隆~!!!」
「おう、若旦那、元気してたか?」
「てめー、最近ご無沙汰じゃねーか。いい女でもできたか? え?」
「山崎じゃねーか、お前こそ何してんだよ」
「去年、こっち引き上げて先生様だ」
「ちぇ、もっと景気のいい話、ないのかよ」
 早速、清隆は同級生に捕まっている。
「おい、朔也、何、やってんだ? お前、エプロンなんかして」
 清隆は豪や正人らと片付けを手伝っている朔也に声をかける。
「るせーな、俺は今日はここのバイトなんだよ。たむろしてねーで、手伝え!」
「バイトだぁ?」
「だから、明日、元気とスキーつき合ってもらうって言っただろーが」
「おい、お前、また、元気、朔也にちょっかいかけてんじゃねーだろな」
 朔也の出現だけならまだしも、GENKIの乱入の上に、清隆の呆れた発言とくれば、元気が大きくため息をつくのも無理はない。
「ったく!」
 ギターを片付けていた元気はすくっと立ち上がると、バン!! とカウンターを叩く。
「どいつもこいつも、勝手なことばっか! 邪魔するつもりなら、とっとと出て行く! わかったか?!」
 休火山の爆発ほど怖いものはない。
 一瞬、シーンと静まり返る。
 が、次にはみんな、ごそごそとテーブルや椅子をもとにもどしたりと、動き出した。
 GENKIの面々も例に漏れない。


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