花のふる日は 100

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 今度は一斉に自分を取り囲む男どもを一瞥し、菊子は京助に目を留めた。
「あら、見たことないカッコええ殿方が! こんばんは、菊千代どす」
 男どもを掻き分けて、菊子は京助にしなを作りながら声をかける。
「これはこれは、美しい芸妓さんまでお友達とは、千雪も隅におけないな。綾小路です」
 京助はにっこり笑って、どうぞ、とグラスを差し出しだした。
「お噂はかねがね。ほんまに生で見ると本物のイケメンやわ」
 この発言に周りの男どもはブーブー文句をたれる。
「それやったら、俺らは何やっちゅうねん!」
「言いだしっぺのくせに、遅いやんか、菊ちゃん」
 未だに慣れない芸妓の姿を眺めながら、千雪は菊子のグラスにビールを注ぐ。
 実は千雪が戻っているから、皆で千雪の家で集まろうという、飲み会の首謀者は菊子だった。
 急に菊子が連絡してきたのは昼前のことだ。
 菊子が酒屋の島田に声をかけると、ほんなら、と瞬く間にこれだけ集まったというわけだ。
「かんにん、千雪くん、それが急にお座敷入ってしもて。後輩が熱で寝込んで、代わりにせいぜい二時間、待ってて?」
 かけつけ一杯、グラスを飲み干してから、菊子は千雪に手を合わせ、ほな、あとで、と行きかけて、菊子が振り向いた。
「せや、研二くんもあとで寄る言うてた」
 一瞬、千雪が表情を失くしたことに気づいたものは少なかった。
「わかった。お座敷、しっかりな」
 すぐに気を取り直して、千雪は菊子を見送った。
「え、桐島さん、三田村くんと?」
「何? 三田村と結婚すんの? 桐島さん! あのやろう!」
「ちょっと、つきおうてる、だけやわ」
 今度はクラスメイトの三田村と桐島が付き合っているという話で盛り上がっているその時だった。
「こんばんは」
 


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