氷花 11

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 一時間半のフライトで、京助と千雪の二人は都会の雑踏を離れ、一転雪が舞い踊る千歳空港に降り立った。
 迎えに現れたのは茶髪にピアスの若者だ。
「公一、お前わざわざ借り出されたのか?」
「いやあ、バイト代出るし、スキー三昧できるし、一石二鳥ってとこ?」
 ベンツのステーションワゴンの後部座席に乗り込むと、京助は運転している若者に親しげに声をかける。
「俺、てっきりいつもみたいに女の子うじゃうじゃ連れてくるんだとばっか……あ、すみません、いや、彼女と二人、お忍びでスキーなんて羨ましい限りっすよ。ってより、そんなチョー美人な彼女、どこに隠してたんです? いやー、ほんと……俺が知ってる限りでいっちゃんの美人!」
 ちらちらとバックミラーで後ろを見ながら、藤原公一と名乗った若者は捲くし立てる。
 女の子がうじゃうじゃ?
 しかも、美人な彼女、という表現に千雪は顔には出さずとも心の中でむっとしている。
「バーカ、彼女なんかじゃねーよ」
 京助がぶっきらぼうに言う。
「まーたまた、この期に及んで隠すことないでしょーが、身内なんだし」
「俺、小林千雪、言います。京助の後輩になるんで、よろしゅうに」
 京助と公一の会話に輪って入った千雪は、きっぱりと言いはなった。
「へ…………俺……??? って、まさか………」
「だから男だ。残念ながらお前の彼女にゃなれねーよ」
 心底驚いたようすの公一に、京助が念を押す。
 空港でも千雪は一応小林だとは名乗ったはずだが、またか、という成り行きである。
「ウッソー? マジっすか? びっくりしたなーーー、すみません。あれ、でも、待てよ、確か、京助さん、例の名探偵の相棒、いましたよね? 小説書いてる人、確か小林千雪、って言いませんでしたっけ? 俺の記憶違い……かな」

 


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