氷花 12

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 一人で首を捻っている公一に、本人だ、とまた京助が答えた途端、車はキキーーーッと音をたて、車体が横揺れする。
 信号が赤に変わっている。
「このバカ、凍結した道で急ブレーキなんか踏むな!」
「すんませーん、びっくりして…………こないだはいたばっかのスタッドレス、結構いいじゃん。へへ………しっかし、こりゃ、オヤジも驚くわな~」
「オヤジって、藤原もきてるのか? こっちに」
 京助は眉を顰める。
 好き勝手できると思っていたのだが、口うるさいお目付け役がいるとは想定外だ。
「ええ、きっと京助さんのことだから、また何人も連れてくると思ったんじゃないっすか? どおりで荷物ないと思った。女の子なんかいっつもすんげー荷物だから、この車で大丈夫かなあと心配してたんすよ」
 機内でようやく、京助のうちが持っている山小屋に行ってスキーをするのだと聞かされ、千雪は勝手に決めやがってと怒ったが、ここまできてしまえば仕方がない。
「でも俺、スキーなんか、高校の時授業でやらされただけやで。それに道具かて持ってへんし」
「んなもん、山小屋にあるから心配するな」
「第一着替えも何も手ぶらやし。北海道なんかくるんやったら、それなりに持ってきたのに」
 今更ながらに千雪はグチグチと文句を並べたてる。
「涼用に揃えているのがある。お前と体格ほぼ同じだ」
「涼って、弟さんやったか? ンな、勝手に……」
「心配すんな、新品だ」
 横柄に京助が電源する。
「そういうことやのうて……」

 


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