氷花 13

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 傍若無人な京助のやり方に千雪が文句を言っているうちに、二時間ほどで車はニセコに入った。
 しばらくすると外灯に照らされて年季の入った門構えが雪の中にぼんやり見えてくる。
「雪、すごくなってきたな」
 公一は門の前で車を停めると携帯で帰ったことを相手に告げた。
「ちょっと待ってくださいね、親父が今開けますから」
 親父というのは綾小路家に先々代から仕えるいわゆる執事だと、公一は運転しながら千雪に話してくれた。
 現在K大二年で今時の若者らしい風貌の公一は、小さい頃から綾小路家で育ち、京助に少林寺を叩き込まれたというだけあって、いい体格をしている。
 やがて門が開いて車が門をくぐるとまた後ろで門が閉じる音がした。
「京助、これを山小屋、言うんか? どういう神経しとんのや」
 雪の夜を背景に現れたのは木造三階建ての洋風の大きな屋敷である。
「昔から山小屋って呼んでるんだから、仕方ねぇだろ」
「ヴァンダインの小説に出てきそうな屋敷やな」
 アーチ窓のある玄関のドアが開いて、初老の男が三人を迎え入れた。
「藤原、お前にわざわざいてもらわなくても俺らでやるから、もう帰っていいぞ」
「京助さん、お二人、でございますか?」
 藤原と呼ばれた男は、さっき公一が話したような理由で訝しく思ったのだろうがすぐ「公一、お荷物をお運びして」と公一に命じた。
「夜分にお邪魔してすみません、京助の大学の後輩で、小林と申します」
 中に入ると、千雪は藤原に自己紹介した。

 


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