氷花 14

back  next  top  Novels


「ようこそいらっしゃいました。小林様、お疲れになりましたでしょう、どうぞお部屋の方にご案内いたします」
 一瞬、藤原は京助の後ろから現れた千雪を驚いたようすで凝視したが、すぐ何事もなかったかのように道中をねぎらった。
「俺が連れてくからいい。二階の端の部屋だろ? それより何か軽く食うもん用意しといてくれ」
「かしこまりました」
「ご厄介になります」
 服装こそスーツだったが、藤原はちょっと頭を下げた千雪に対して背筋を正し、深々と頭を下げた。
「なあ、この建物、大正から昭和初期くらいのもん? ほんまに横溝とかヴァンダインの小説に出てきそうな部屋やな」
 京助に案内されて入った部屋は、ダークブラウンに統一された十畳ほどの部屋だ。
 ふかふかの絨毯、窓座のある出窓、外へと中へと二重に開くようになっているフランス窓。
 シャンデリアにカウチにタンス、テーブル、極めつけは天蓋つきのキングサイズのベッドとどれをとっても年代を感じさせるものばかりだ。
 天井が高い。
「建てたのは大体その頃だったみたいだぜ。ただし、もともと小樽にあったのを二十年位前にここに移築して、補修したり、空調入れたりしたらしい。ベッドとかソファとか椅子なんかも張り替えてある。小樽にあった頃のことはうろ覚えだが、マジに暖炉だけとかで暖を取ってたから冬はちょっと勘弁だったな」
「重要文化財って感じ? 女の子なんか好きそうやん、こんな部屋」
 ダウンジャケットを脱いで椅子に引っ掛けると、千雪はぐるりと部屋を見回す。
「お前みたいに分析したりはしないな」
「ふーん、ほんで何人くらい女の子連れてきたん?」
 からかうように聞かれて、京助は千雪を睨みつける。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ