氷花 19

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 京助の実の母親は亡くなったはずだ。
「涼の母親。根っからのお姫様なんだよ。でもまあ、徐々に世間のことを俺らが教えてやってる」
 ふんぞり返って京助が答えた。
「俺ら、て、お前が、の間違いやないのんか? 教えるやなんて、えらそうに」
「るせーな。いんだよ、こもっているよりか。お陰で最近はボランティアとか顔を出すようになったし」
 千雪の突っ込みに、京助はもっともらしい理由をつける。
「お陰で俺が、最近、奥さんの運転手いつもやらされてるんっすよぉ、女の子と約束あるってのに、オヤジのやつ、奥さん優先しろなんて言いやがるし~」
「あきらめろ、目上の者は大事にするんだな」
「京助さん~、んなぁ、俺、また振られっちまいますよぉ」
 泣きつく公一を京助はニヤニヤ笑って調子よくあしらう。
 格式高い旧華族などという家柄のわりにオープンで和やかな家らしい。
「京助のジャイアンなんは内も外もないいうこっちゃな」
 我が意を得たりと、千雪は締めくくる。
「るさいな、いちいちお前は」
 京助がジロリと睨むが千雪は意にも介さない。
「千雪さん、言いにくいことズバズバ言いますねぇ、この京助さん相手に」
 公一が目を細めて笑う。
 公一は初対面と思えない懐こさで千雪に接するので千雪もよその家に来ているという気詰まりも感じない。
 十二時近くまで、京助や公一がどれだけ悪さをしたかという子供の頃の武勇伝に笑い、ワインクーラーにあったワイン三本を軽く空けた。

 


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