氷花 22

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 どこかから聞こえてくる声が煩いので、千雪は身体を捩って眉を顰めた。
「起きろって、こら」
 次にはゆさゆさ揺すられて、ようやく少しだけ目を開ける。
「メシ、食いっぱぐれるぞ! 千雪」
 ベッドの横で仁王立ちになっている京助をみとめてからだを起こし、勢い昨夜の記憶を反芻した千雪は思わずかあっと頬を赤らめ、京助を睨みつける。
「もう、当分俺の半径三メートル以内に近づくな!」
 すっきりした顔で、さっさと身支度をすませて腕組みしている京助に、何か文句を言わなくては気がおさまらない。
「何でご機嫌斜めなのかな? 千雪ちゃんは」
 ニヤニヤと厚顔無恥な笑いを向ける京助に、ますます千雪はむっとする。
 千雪は最初に案内された自分の部屋のベッドにいた。
 京助がこの部屋に運んだのだろうが、昨夜、京助に引きずられるように二人してシャワーを浴びたところから後の記憶がほとんどない。
 その前の記憶はたった今よみがえった。
「俺が誰を惑わせたいうんや! アホンダラ!」
「おーや、感じまくっていたわりに俺の言ったこと覚えてたのかよ」
 ニヤニヤと京助は腕組みをして千雪を見おろしている。
「着替える! 出て行けよ!」
「この期に及んで、んな恥じらわなくても。夕べはあんな燃えたのに」
「うるさい!」
 千雪は枕を投げつける。
「ハハッ、んじゃ、ダイニングでお待ちしてまっせ、千雪ちゃん。今日はみっちりスキー扱いてやるから覚悟しとけよ」
 ドアを閉める間際、色悪じみたウインクを残して京助は消えた。

 


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