氷花 26

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 和やかな朝食に、ようやく原稿の疲れやらが取れた気がしていた千雪だったのだが。
 スキーと聞いてロマンチックな展開を期待してわんさか京助についてきた女の子たちも、ロマンチックどころか、ゲレンデで徹底的に京助に扱かれ、次にはスキーに誘っても敬遠されることになるのだ、という話も公一から聞かされた。
「意外も何も、もともと中身は硬派なんだから、華やかな外面だけにつられて寄ってくる女の子たちには京助さんは手に余るって」
 その京助が公一もスキーに誘ったのだが、今日は買い出しや掃除頼まれてるからとかうまくかわして、草々に車でスーパーに出かけてしまった。
「俺も二度目は拒否したる!」
 午前中だけでも、公一の話はとことん理解できた。
 カフェテリアでは、さすがに久しぶりの運動の後だったので、大盛のハンバーグセットを軽く平らげる京助の横で、千雪もハンバーグセットをきれいに食べ終わった。
 カフェテリアで小一時間ほど休むと、「さあて、もういっちょ行くか!」と京助がのたまった。
 はっきり言って今すぐにも帰りたい気分の千雪だったが、不承不承京助に従ってリフトに乗った。
 それでも午後は、あまり一気にやると筋肉に負担がかかるということで、三時過ぎにはゲレンデを降りた。
「もうとっくに負担かけ過ぎや」
「フン、これしきで音を上げるんじゃねぇよ。お前、最近、道場も覗いてないだろ?」
 ナビシートで文句を言う千雪に、すかさず京助が言い返す。
「るさいな、仕方ないやん、原稿かかりきりやってんし」
 ああだこうだと言い合いながら山荘に戻る頃には、また雪が強くなっていた。
「お帰りなさい。どうだった? スキー」
 出迎えた公一がにやにやと千雪に聞いた。
「次は俺が買い出し行ったるからな」
 途端、公一は思い切り笑ってくれた。

 


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