氷花 3

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 言葉だけで思わず血の色を想像してしまう。
「人がまだ食うてる時に……」
 氷のまなざしを佐久間に向けながら、千雪は茶をすする。
「そんなんで、先輩、よう殺人事件なんか書かはりますな」
「ドロドロしたんは嫌いや」
「そういえばそうか。毒飲んで血ぃ吐いた、みたいな描写あんまりないもんな、先輩の……あ、ちょ、待ってーな、先輩ぃ」
 暢気そうに腕組みをする佐久間の話を最後まで聞かないうちに、千雪はトレーを持って立ち上がった。
「もう、言いませんよって、堪忍してくださいよー」
「……お前もおかしなやっちゃな」
 並んで返却口に食器を戻しながら、千雪はボソリと口にする。
「俺なんかとつるまんかて、お前、ダチおるやろ」
「俺、昼は先輩らとって決めてますよって」
「勝手に決めるな」
 千雪はたったか学食を出る。
「何、怒ったはんの? ほな、コーヒーおごりますよって、機嫌直してーな、先輩」
「何でお前におごられなあかんね」
「ツレナイこと言わんと、カフェテリアいきまひょ」
 ぐいぐいと千雪の腕を引っぱって佐久間が連れて行ったのは先ごろ新しくできたカフェテリアだ。
 すばやくちょうど空いたテーブルを見つけると千雪を座らせる。
「お待たせ~」
 やがて佐久間は紙コップのコーヒーと千雪リクエストのカフェオレを両手に、千雪がぶすっと頬杖をついているテーブルに戻ってきた。
「いっつもほら、京助先輩と一緒やと、周り女の子の視線で取り囲まれてるし、込み入った話もでけんし」
「いつでも平気でべらべらしゃべっとるように見えるぞ、お前」
 何を言っても暖簾に腕押し、千雪はイラっと佐久間を睨みつける。

 


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