氷花 37

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「完全にあの坊やにイカレてるな。お前こそ、小林千雪を壊すなよ」
「んなこた、わかってる!!」
「危ないもんだ」
 二人はしばし睨み合う。
「おい、京助、何やってんね!!」
 心配してやってきた千雪は、そのようすを見て声を上げる。
 京助はようやく紫紀を離した。
「何でもねぇよ」
 吐き捨てるように言うと、京助はたったかキッチンに戻っていく。
「兄弟のスキンシップってとこ? あいつはいつも、横暴なだけで」
 紫紀が茶化して笑った。
「ほんまに、うちの中でもジャイアンなんか、お前は!」
 呆れて千雪は京助の背中に怒鳴りつけると、紫紀は大いにうけて笑い出した。
「よくわかってるねぇ、千雪くん! 全く、その通り! いつまでたってもお山の大将だからな、あいつは」
 ひとしきり笑うと、紫紀は、ご馳走様、と言って自分の部屋に向かった。
「咲子さんは?」
 キッチンに戻ると、千雪は早速京助に問いただした。
「無事手術終わって、子供も生まれた。旦那がくるまで公一がついてる」
 むすっとした顔で京助は言った。
「よかった」
 千雪はようやく胸のつかえが降りた気がして、大きく息を吐くと途端、自分は何も手伝うこともできなかったが、精神的な疲れを感じて椅子に座り込んだ。

 


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