氷花 39

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 息苦しくなった千雪は、京助の背中を拳で小突く。
「これ以上、何かしたら、即東京に帰るからな! お兄さんもいてるのに」
 ようやく離されて、大きく息をつきながら、千雪は京助を見上げた。
「兄貴なんか、わかってるぜ? とっくに。あいつは俺なんかよりずっとエピキュリアンだからな、しかもバイで」
「ほんで弟はタラシか? しょうもない兄弟やな! ほんまに! とにかく、すぐに出て行け!」
 フッと笑うと、京助はきつく睨みつける千雪を離して立ち上がる。
「今更、昔の女どもを妬くなよ」
「誰がや! アホ!」
「仕方ねぇな」
 京助がドアへ向かうと、千雪はほっとしたように身体を起こした。
 ところが、ガチャっとドアに鍵をかけると、京助は踵を返して戻ってくる。
 千雪は逃れようと慌てて奥へ走り込むが、あいにくそこにあるのはベッドだ。
 当然のように今度は二人してベッドに倒れこむ。
「離せ! 出てけ! ドアホ! エロ魔人!」
 千雪の罵倒など歯牙にもかけず、京助の手は千雪の服を剥ぎ取る。
「でかい声で騒ぐと聞こえるぜ?」
 うっと千雪は口を噤む。
「いっか、聞かしてやるか、お前の可愛い声」
 思わず千雪は京助の頬に平手打ちをかます。

 


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