氷花 4

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「ははは、いや、ほんまの話、先輩、彼女いてはらへんですやろ?」
「それがお前に何か迷惑かけたか?」
「またまたそんな冷たい~視線、いや、京助先輩には悪いんやけど、この話は千雪先輩だけにってことで、明日の土曜の夜、合コン行きませんか?」
「合コン? 誰が行くか」
 よもやそんな話をしたいがために、コーヒーをおごられたとは思いもよらなかった千雪は、一刀両断に返した。
「そんな、もちょと考えてみてくださいよ。あと十日でクリスマスイブでっせ? クリスマスといえば、恋人同士で過ごすのんがお約束ですがな。はよ相手見つけな、間に合いまへんわ」
 佐久間は真面目そうな顔で力説する。
「俺はあいにくクリスチャンと違うし、大体がイブを恋人同士で過ごすやなんて、誰が決めてん。何も関係あれへんわ」
「これやからな。俺、ほんま、先輩のこと心配ですねん。先輩も知ってはるやろ? 影で先輩がどない噂されとんのんか」
「ネクラだ、変人だ、クサそうだ? そんなん言われてる俺を合コンなんかに連れてってどないすんね」
「せやからです」
 ぐい、と顔を寄せて、佐久間はまくしたてる。
「俺が上から下までコーディネイトします。そのボサボサの頭といい、野暮ったいその黒渕メガネといい、よれよれのジーパンといい、そのスニーカーならぬ運動靴といい、このジャケットならぬ鼠色のスエットといい、そら、俺は現代の金田一耕助やて、気に入ってるんでっせ? けど、女はそうはとってくれまへんで。いくらなんでも、かまわなさ過ぎです。俺に任せてください、悪いようにはしませんよって」
「断る」
 即答する千雪に、佐久間ははああ、と大仰なため息をつく。

 


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