真夜中の恋人102

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 しかも、足が不自由な老女のところに通っていた介護士から、真山が何かを老女の家近くの公園の植え込みに何かを押し込む姿を見たという証言が得られ、捜索したところ血のついたジャケットと包丁が発見され、それが老女のキッチンから持ち出されたもので、凶器であることに間違いはないのだった。
 ジャケットは真山の物だと判明している。
 包丁はふき取られていたせいで指紋は発見されなかった。
 さらに聞き込みをしたところ、何人かが真山を見たと証言している。
「預金通帳とかにも手をつけてないし、動機を考えると、真山しかいないってことになってしまうんだけど……」
 警察は老女が亡くなった場合、真山の両親も亡くなっている今、老女には他に子供もいないため真山が土地家屋含めて約五千万相当という老女の遺産相続人であることなどもあって、真山の容疑を確信していた。
 だが、真山が犯人ではないと仮定した場合、真山が何かを老女の家近くの公園の植え込みに何かを押し込む姿を見たという介護士の証言は嘘かあるいは見間違いだということになる。
 渋谷はこの介護士の田辺という男を調べていた。
 田辺は几帳面な性格で、仕事ぶりもまじめで評判もいい、何も問題は見当たらない。
 さらにこの田辺が老女を殺す動機がないのだ。
 だが、老婆のかかりつけの病院に足を運ぶうち、待合室で集う老人たちの中に老婆をよく知る者がいて、気になる話を聞いた。
「そういえば、昔、まだあの人、歩いてここに通ってた頃、言ってたのよ。いざとなった時のために、ちゃんと手元にそこそこのものは持ってるんだからって」
「というと?」
「へそくりよ、へそくり、どこかに隠してたみたいよ」
「いくらくらいとかは?」
「さあ、そこまでは知らないわよ」
 


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