真夜中の恋人17

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 本当はもっと言ってやるところだが、こんなところで毒舌を吐いて座を白けさせるようなことは千雪としてもしたくはない。
 まあ、明らかに皮肉った言い返しに、ぐっと千雪を睨みつける速水の顔を見て、少々、溜飲が下がる。
「千雪、てめぇ、そんな話、俺も聞いてねぇぞ!」
 ところが直情的になって割り込んできたのは京助だ。
 アホか。
 早々にこの場を収めないと、こいつ何を言い出すかわからへん。
「お前には関係あれへんわ」
「何だと?!」
「なるほどね、小説家様ともなれば、先輩も呼び捨て、ピアニストごときじゃ名探偵にはふさわしくないってわけか」
 どうやら新たな嫌味のネタを得た速水は、忙しく飛び回っている店員を捕まえてウイスキーをオーダーすると、自分の席に戻っていく。
「ねえねえ、あの事件の話、私、聞きたかったんだよね、どうやって解決したの? マスコミもまるで名探偵が犯人みたいな扱いだし、事情聴取までされたんでしょ?」
 入れ替わるように、今度は牧村が近くの椅子を引き寄せて千雪の横へやってきた。
「あれは別に俺が解決したとかいうわけではなく、警察がよう調べもせんとアホやっただけです」
 また蒸し返されるのもいやな話だ。
「ああ、あの時は、災難だったよね、小林くん。厳めしい刑事に連れて行かれて、どうしようかと思ったよ」
 だが宮島教授まで口を挟んでくる。
「そもそも名探偵に似せた格好してたんだよね? 犯人が。しかも小説のファンだったからとかって。二件目の事件も名探偵によく似た格好してたっていうし」


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