真夜中の恋人7

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 まさかの事態だ。
 速水が何かまだごちゃごちゃ言っている携帯を切り、シートに凭れて京助は大きく息をついてからエンジンをかけた。

 久々、静かな週末をひとりで過ごし、月曜の朝は少しばかりまともな頭になって研究室に向かった。
 小ざっぱりしたジャージの上着とスニーカーは昨日スーパーで買ったばかりだし、ズボンも洗濯をしたものだ。
 ただ、本人は非常に清潔で小ざっぱりとし、最近の柔軟剤の香りも嫌いではない、にもかかわらず、本を読みながらキャンパスを歩いていると、どこからともなく失笑し、中には聞こえよがしに、来たぜ来たぜ、うちの名物男が、とか、ホントに犯人でもおかしくないよね、とか、近寄るなよ、臭いのが移るぜなどと声高に話しているのが耳に届いたりする。
 まあ、今日はことさら髪を掻き回してみたし、選んだ上着の色は濃いグレイ、紺色のおじさんズボン、安物の合皮スニーカーの色がまた濃い茶色という組み合わせは、はっきり言ってあり得ない、かもしれない。
 京都での飲み会の際も、このイデタチ、コスプレが話題になり、この組み合わせは誰かが提案してくれたのだ。
 今まで、おとなしめの色を選んでいた千雪は、それもいいかもと早速実行してみた。
 集まったクラスメイトはちょっとオッサン臭くなったくらいで、中身は変わりなく、江美子や菊子、それに研二にしても、どうせ俺なんか、などと勝手に捻くれていた千雪だが、やはり昔と同じ大切な友達なのだとあらためて思ったものだ。


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