真夜中の恋人75

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 いつものようにTシャツにジーンズ、ダンガリーシャツを羽織った千雪は、スーツが板についた感じの三田村を見て笑った。
「お前がいつまでもガキなんやろ。五年ぶりやのに」
「学会のお供とかの時くらいしか、スーツなんて着ないしな」
 桐島からは少し遅れるという話だからとオーダーを済ませたが、「お前、相変わらず好き嫌い多いのな」と三田村がふんぞり返って言う。
「ヒカリモノだめ、ウナギだめ、レーズンだめ、セロリだめ? まるっきりガキ?」
「うるさいな、これでも少しずつ克服してるんや。にしても、よう、俺の嫌いなもん知っとったな?」
 三田村はちょっと千雪の視線を外し、「そりゃ、お前、長いつきあいやし?」と言う。
「長いつきあいやのに、同じ東京に何年かは住んどったんやろ? 全く顔合わせんかったな」
 ワインが来て乾杯をした後、三田村は、フンと笑う。
「そら、お前が薄情なんやろ」
「俺だけに言うか? お前の方こそやろ。薄情やといえば、研二のやつもや。あいつの結婚のことも、後で人から聞いてんで?」
「そら、まあ、な」
 三田村は所在無さげに、テーブルを指で叩く。
「何が、まあ、やね?」


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