花びらの囁き 18

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着いてみれば、ここがフランスのパリなんだ、と感慨を深める余裕もないまま、安ホテルにチェックインし、その夜はルーブルのチェックをして食べて寝るだけだった。
翌朝早く、悠は高津に叩き起こされ、時間がないからとあたふたとルーブルに向かう。
確かに藤堂の言うとおり、一つ一つ見ていったらルーブルを制覇するのにどれだけかかるかわからない。
これだけしか見ない、と決めて向かった悠だが、いざ来てみると、あちこちでついつい立ち止まりたくなるものばかりで、時間がない高津に手を引っぱられて走り回るはめになった。
次の日のロダン美術館では、カミーユ・クローデルの作品に抱きつかんばかりの高津を閉館過ぎて連れ出すのに悠は一苦労だった。
「ああ、俺のカミーユがあああああ!!!!!」
「わかったから、また今度にしろ」
「今度っていつだよ! あああ、いっそのことパリに住もうかな」
「住めよ!」
やっとのことで高津を美術館から引っ張り出し、その夜はパリに留学中の先輩の部屋で宴会となった。
「いやあ、いいとこ住んでますね~、さすがぁ」
高津が広い部屋をうらやまし気に見回した。
「恵まれてるからな、俺は」
さらりと口にするオヤジづらは大野という。
二人の三年先輩にあたり、裕福な家に育った大野は留学費用も親が出してくれているという。
借りているアパルトマンも画学生にしては贅沢なものだ。
「いいなぁ、俺もパリに留学してぇ!」


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