花びらの囁き 26

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 背の高いお兄さんが閉館だから出るように、と言っているらしい。
 言葉はわからなくても大概はシチュエーションや身振りでわかるものだ。
 絵画館を出ると、悠は待ち合わせた一番端の柱の前まできてみた。
 だが、まだ高津の姿がない。
 おかしいな、と思い、携帯で呼び出すが、電源が入っていないか、というメッセージが流れる。
 不安になりながら、しばらく待ってまたかけてみるが、やはり状況は同じだ。
「何だってんだよ!」
 悠は携帯にあたる。
 仕方なくラインにメッセージを入れる。
「もちょっと待って、こなかったら、帰るからな!」
 とはいえ、高津に連れてこられたようなところで、タクシーに乗るにもホテルをどうやって説明したらいいかわからない。
 日は傾き、人の波も少しおさまってくる。
 何度かかけているのだが、状況はまったく変わらず、高津の携帯は出ない。
 ラインも既読にならない。
「何かあったんだろうか」
 高津に。
 悠はもっと不安になり、どうしたらいいかわらかず、ただ携帯を握り締める。

 


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