花びらの囁き 31

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 ウソ偽りのない美女と一緒に、フェラーリなんかで現れた藤堂に、高津は狂喜乱舞し、悠は面白くない顔を隠そうともしなかった。
 まだ二十歳というはつらつとした美女、ティッツィアーナは、ボローニャの大学に学ぶ学生の傍ら、モデルの仕事をしているらしい。
 藤堂が説明してくれたところによると、そういうことだがナビシートにおさまって、軽く藤堂にしなだれかかるティッツィアーナを見ると、悠はまったく面白くない。
「しかし、もしかこのフェラーリも藤堂さんのものなんすか?」
 一応四シーターではあるが、後ろはゆったり感とはかけ離れている。
「まさか買うわけないだろ。借りたんだよ。選んだのは俺だけど」
 アウトストラーダを制限速度百三十キロギリギリのスピードで走りながら、高津の質問に藤堂は答える。
「そうっすよね、いくら藤堂さんでもこんな車すんなりと……」
「河崎のやつ、車とかファッション、芸術とかまったく執着しないやつなんだ。せっかくフィレンツェに家を買うっていうから、車を俺が選んでやったんだ」
「へ……っていうと、やっぱこれ、買ったもん……フィレンツェに家…?」
 げ、河崎の車かよ、と悠は内心思う。
 それに、たまたま買ったのは河崎だっただけ、という気もする。
 途中ローカル線に入り、二時間あまりで車はフィレンツェに行く前に寄ることになっていたアッシジに着いた。
 サンフランチェスコ寺院でジョットーの壁画を目の当たりにした悠は、感動しまくった。
 ティッツィアーナも広がる田園風景に感激して、高津は言葉が通じないながらすっかり彼女と意気投合したらしい。
 片言のイタリア語を交えたボディランゲージで、彼女を笑わせている。

 


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