花びらの囁き 8

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 寂しさは想像がつかない。
「悠、まだ受け取らないんですか? 絵の代金」
「どころか、父親からの養育費さえ一銭たりとも手をつけようとしない。母親が遺してくれたもので、学費はまかなっていたみたいだし」
「筋金入りっすねー」
 感心したように浩輔はうなずく。
「とにかく高津が一緒とはいえ、ちょっとねー」
「スケッチに夢中になって、気がついたらここどこだっけ? ってなことにならなきゃいーっすけど」
「達也のマネをして不安を煽り立てないでくれ」
 ちょっとむっとして、藤堂は言った。
「ちょ、河崎さんと一緒にしないでくださいよー」
 それこそ心外だという顔でナビシートの浩輔は抗議する。
「パリは先輩がいるからいいとして、何なら、フィレンツェの友達に連絡とってみましょうか? そんなに心配なら」
「ほんとか? そうしてくれると助かる。確か向こうで所帯を持ってるんだったね?」
 心なしか声を弾ませて藤堂は聞いた。
「所帯って、時代劇じゃないんっすから。まあ、そう、高木、超美人のキャビンアテンダントと結婚して、今じゃ支店長」
「やるね、高木君。お礼は何なりと」
「とりあえず聞くだけ聞いてみますけど、あいつも忙しいからな」
 二人は会社に取って返し、浩輔が早速フィレンツェに電話をかけてみた。
「え、そうか、出張か。あ、ちょっと待って」
 ちょうど相手がつかまったらしく、しばらく電話で話をしていた浩輔が、藤堂を振り返った。

 


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