「そのあたりのスケジュールだと、最初の二日くらいしか相手できないらしいです。ミラノに出張らしくて」
「そうか、いや、相手まではお願いすることはないと思うが、いざとなったらって時の連絡をね、お願いできればと」
少々がっかり気味の藤堂の顔をうかがいながら、浩輔はそれを伝えて電話を切った。
「二十一日と二十二日なら、東都建設さんとさくら不動産の打ち合わせ、前倒しにしてもらえばいいな」
モバイルを覗き込んでいる藤堂の呟きに、思わず浩輔は振り返る。
「何か、言いました?」
「いや、こっちの話」
急に機嫌よさげな声に変貌した藤堂を訝しげに見つめながら、長年のつきあいから「何か企んでる顔だ」と浩輔はこっそり呟いた。
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