サンタもたまには恋をする 33

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 藤堂は慌ててあとを追った。
「おい、それで、悠くんの容態は?」
 廊下の端までいくと、高津は振り返った。
「無理やり医者連れてったら、肺炎起こしかけてたって……とにかく、これ以上あいつを追い詰めるのはやめてくれ。教授だけならまだしも、画商にまで、冗談じゃない」
「教授だけならって、彼、教授と何かあったのか?」
 高津の剣幕にちょっとたじろいだものの、気になるキーワードに藤堂は聞き返した。
「教授とやりあって、卒制、一人でやるって啖呵きったんだ」
 藤堂は驚いた。
「そういうことか」
「ただでさえ、あいつ、ひとりで気ぃ張って生きてるんだからな」
 藤堂は言い返すこともできず、高津を見つめた。
「とにかく、よくなるまで、絵も何もやめだ」
 迂闊だった。
 もう少しちゃんと、聞いておくべきだった。
「わかった。無理をしないようにと、五十嵐くんに伝えてくれ。これ、彼が元気になったら君から渡してやってくれないか、案内状だ」
 案内状の入った袋を受け取るものの、高津はまだ藤堂を睨みつけている。
「五十嵐くんのこと、よろしく頼むよ」
 自己嫌悪と、いくばくかのわだかまりを抱いたまま、藤堂はキャンパスをあとにした。

 


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