ひどく、恐ろしく寂しかった。
藤堂のぬくもりが恋しくて。
「待てといってるだろ!」
藤堂は悠に追いついて、後ろ首を掴んで引き寄せ、振り向かせる。
「何しやがんだ! てめー」
「ひとこと、言わせてもらったら、消える」
凄みを効かせて藤堂は悠を見下ろした。
「…ひとことだけしか、聞かねーぞ」
悠は思わず目をそらす。
「俺には遊びのつもりなんかこれっぽっちもないぞ」
「何…言ってやがる! あの美香って女とつき合ってるくせに!」
「誤解だ。美香とは仕事でしか会ってないし、つき合ったことなんかさらさらない!」
目を剥いてくってかかる悠に、藤堂は慌てて言い募る。
「ほんとはマミって女に惚れてたけど振られたってことも、ちゃんとあの、さやかって女に聞いてんだよ!」
「何だって? さやかのやつぅ!!」
今度会ったらただじゃおかない! 藤堂は舌打ちして、また歩き出そうとする悠に追いすがり、後ろから悠を抱きしめた。
「さやかなんかの言うことをまともに聞くな。俺が今一番大事なのはお前だ」
「いい加減なことぬかすな!」
「いい加減なもんか。この俺が、大好きな仕事をほっぽり出してきたんだぞ」
途端、悠は膝からくずおれる。
どうにも堪えきれずに涙が零れ落ちた。
「帰ろ…な? 悠ちゃん」
藤堂はしっかり抱きしめて、優しくささやいた。
「アイちゃんもお前がいないと寂しがってる」
悠は言葉もなく、ただ、頷いた。
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