秋の陽1

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 久しぶりに出掛ける用もなく、広瀬良太は朝からデスクワークに没頭していた。
 ここ青山プロダクションのある乃木坂も通りはすっかり色を変えた街路樹が秋の陽を浴びている。
 社長の工藤は今日もあちこち出かけてはいるが、珍しくここ数日東京にいて、夕方にはオフィスに戻る予定だ。
 昼は最近気に入っている近くのマルネコ弁当で今日のおススメ弁当を買ってきて鈴木さんと一緒にのんびり過ごした。
「すっかりリフレッシュできたわ。ラグジュアリーなホテルライフと情緒豊かな景色の両方堪能できて、最高だったわ」
 嵐山でしょ、銀閣寺でしょ、三千院にも行ったのよ、と鈴木さんは、先日娘のまどかと二人で行った京都の写真を携帯で良太に見せながら、すごくよかったを連発した。
「お天気も崩れなかったから、写真よく撮れてる」
 良太も景色に混じって楽しそうな二人の笑顔を見て笑った。
「お食事も美味しいし楽しいし」
「あ、ここ、俺も一度行きました、美味しいですよね、川床料理」
「そう、京野菜なんかも色々いただいたの」
「俺、何回か京都行ってますけど、仕事メインだから、お寺とかほとんど行ってないんですよ。銀閣寺とか高校の修学旅行で行ったきり」
 良太はふっと仲間とふざけ合った修学旅行のことを思い起こし、ちょっと笑った。
「良太ちゃん、川崎だったわよね? どちらの高校?」
「県立の川崎第一ってとこ。まあまあ偏差値は上の方だったから進学校ではあったけど、なんていうか、まあまあ、ってとこで、可もなく不可もなくってくらい? 俺は野球ばっかやってたし」
「ふふ、きっと可愛い高校生だったわね」
 鈴木さんが笑う。
「いや、何ですか、可愛いって……」
「だって、面接で初めてここに来た良太ちゃんのこともよく覚えてるのよ」
「やだな、そんな昔のこと」

 


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