秋の陽11

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「うん、ありがと! また今度、ご飯食べ行こ?」
「うん」
 万里子は手をひらひらさせてバイバイとオフィスを出て行った。
「あああ、つまんなーい!」
 アスカはソファに腰を降ろして、また喚いた。
 芸能人はみんなが華やかな世界にいると世間では思っているかもしれないが、案外、一緒にご飯を食べに行くような友人を作るのもなかなか難しかったりするのだ。
 特に強気なアスカだが、実は割と人の言葉の裏がわかってしまうようなところがあって、このオフィスの人間か千雪くらいしか、気を許せる相手が見つからないらしい。
 良太もちょっと可哀そうに思うのだが、何と言って声をかけていいかわからない。
「ちょっと、良太、万里ちゃんに振られた可哀そうなあたしに、俺でよければ、とかくらい言えないの?!」
 とんだトバッチリだ。
「え、ああ、じゃあ、俺でよければ」
 良太は棒読みのように口にした。
「心がこもってなーい!」
「俺に当たらないでくださいよ」
 良太も不服そうに言い返す。
「何なら、俺も今夜は暇だぞ」
 ニヤニヤと良太の後ろから声がかかる。
「やあだもう、工藤さんの苦み走った顔見ながらディナーとか、ないわー。あ、でも、じゃあ、工藤さんに請求書回すから、秋山さん、どうせ一人でしょ? ご飯行こ?」
 アスカが毒を吐いて立ち上がった。
「しょうがないですね。それじゃ、お先に失礼します」
 秋山は工藤と良太に言ってアスカを伴ってオフィスを出た。

 


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