秋の陽12

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「せっかく工藤さん暇なのに、良太のお邪魔虫にはなりたくないわよ」
 階段を降りながら、アスカはボソリと秋山に行った。
「ま、そうですね。で、どこ行きます?」
「そうねぇ、最近、ちょっと評判のイタリアンにしようよ」
「お寿司かお肉じゃないんですか?」
「気が変わったの」
 そんなやり取りは良太にはもう聞こえなかったが、秋山とアスカは一見似合いの恋人同士のようにずっと一緒にいる。
 二人ともそういう雰囲気ってないんだろうか?
 ついつい老婆心ながら、そんなことを考えてしまう。
 まあ、でも、それ言ったら、佐々木さんと直ちゃんなんか、絶対恋人同士にしか見えないもんな。
 良太は美貌のクリエイターとそのアシスタントの顔を思い浮かべる。
 実際は家族のようなものみたいだけど。
 俺と工藤なんか、もろ社長とその部下以外ないしな。
「じゃあ、良太、メシ、行くか」
 フンとほくそ笑んで二人を見送った工藤だが、アスカの余計なお世話なところは見抜いている。
「はい。どこ行きます?!」
 待ってました、とばかりに良太は振り返った。
「何が食いたい?」
「え、うーん、麻布住吉とか?」
 西麻布にある割烹料理の店である。
「肉がっつりとかじゃなくていいのか?」
「あそこの肉もしゃぶしゃぶですんげ美味かったじゃないですか」
「フン、ま、いいさ」
 工藤は苦笑する。
 実際、ゆっくり酒が飲みたい気分だったので、フレンチだのイタリアンだの肉がっつりだのは遠慮したかった。

 


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