秋の陽14

back  next  top  Novels


「ガキの頃、俺を育てたひいばあさんが秋になると、庭に落ちた栗で作ってくれたのさ」
「すんげ、こんな上品なもの作れるんだ? うちの母親なんか、プリンとかケーキくらいは作ってくれたけど、こんなのぜってぇ無理!」
 あっという間に平らげてお茶を飲む良太を工藤はフンと鼻で笑う。
「まったくお前はしあわせなやつだな」
「何だよ、それ」
 眉を顰める良太の百面相は可愛いかも知れない。
 などと思ってしまい、工藤はまた自嘲した。
 比較的ゆっくりしてから店を出ると、空には下弦の月が浮かんでいた。
 満ちるには遠いが、今夜は空気が澄んでいるのか光が強い。
 そんな月は燻る情を獰猛に煽り立てる。
 シャワーを浴びている良太を強襲して、工藤は溶けかけた良太を弄り、いいように泣かせた。
 良太は唇を閉じることもできずに、ひたすら中で蠢く工藤を従順に享受した。
 結局ベッドに雪崩れ込んでからも歯止めが効かずに工藤は良太を喘がせる。
 いつか良太を離してやるなどと言っていたのを思い出して工藤は己を嗤う。
 息も整えきれない良太の胸を工藤の指が掠めただけで、全身が敏感になってしまっている良太は悲鳴のような声を上げて身体を捩った。
「何だ、まだ足りないのか?」
「うっさい! オヤジって、んとにしつこい……」
 揶揄する工藤に良太は抗議する。
 力なく抵抗する良太の唇を追って淫猥にキスをした。
「……ちょ……くど……」
 やがて甘い衝撃とともに良太は深淵に落ちていく。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ