秋の陽15

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「青山プロご一行様でハワイかグアムでも行くか? 福利厚生で」
 頭の後ろからそんな声がして、良太は笑った。
「何だよ、それ……」
 いつのまにか背中からすっぽり抱き込まれていた。
 何か、やっぱ運命とかってあるのかな。
 まあ、工藤のことだから、昔、ニアミスしてたとか言っても、ほう、くらいが関の山だけどさ。
 少しずつ脳みその白濁が消えていくと、工藤なりに事件のことで社員に謝意を示そうとしているのだと良太にもわかってきた。
「別にそんなの、ってか、難しくないか? スケジュール合わせるの」
「やろうと思えばできるさ」
「それよか、あれ、なんかアメリカのドラマで、何かってと自宅に知人招いてパーティとかやってるじゃん、ああいうのでいんじゃない? 業者さんの忘年会とは別に、社員の家族とかも呼んでクリスマスパーティとかさ。プレゼント配ったりして」
 工藤は黙り込む。
 まあ、そうだよな、工藤、パーティとか宴会嫌いだしな。
「ふーん、わかった、お前に任せる」
「え?!」
 良太は思い切り振り返って工藤の顔を見据えた。
「何、それ、ひょっとして、俺にまたそれ押し付けようって魂胆だろ?!」
「お前が言い出したんだ。いや、いい案じゃないか」
「とかって、すぐバックレるつもりだろ? そうは問屋が卸さないからな!」
「昭和なセリフだぞ? それ」
「うっさい! 昭和なオヤジなくせに!」
 ここ乃木坂の平和な秋の夜長を月は静かに照らしていた。

  おわり

 


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