秋の陽2

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 良太もそれはよく覚えている。
 優しそうな上品な受付の人だと思ったら、社長は俺の伯父は中山会組長だとか凄みやがるし。
「ごめんなさい、ちょっとね、あら、高校生が面接に来たのかしらって、ひょっとして社員とタレントさんを間違っていらしたんじゃないかとか」
 フフフと鈴木さんはまた笑う。
「ちぇ、どうせガキっぽかったです。あの時、初めてリクルートスーツとか着たんですよ」
 良太は不本意ながら、鈴木さんには文句も言えない。
「ほんとはね、工藤さん、はっきりおっしゃるでしょ? 伯父様のこと。だからいつも面接にいらしても大抵すぐ皆さん帰ってしまわれて、今度も新入社員さんは難しいのかしらって思ってたのよ」
 良太もその時の工藤の強面ぶりを思い出して、ハハハ、と笑う。
「あれじゃあね」
「でもほら、他のみなさんはそそくさとお帰りになって、高校生かしらって思った良太ちゃんが残ったでしょ? 頑張り屋さんなのねって感心したのよ」
 がんばりやさん………
「でもほんと、ご縁って不思議よね。その可愛いかった良太ちゃんが、今ではこの会社の司令塔ですものね」
 思い切り持ち上げられて、良太は、「いや、あの、司令塔なんて……ハハハ」と照れ笑いをする。
 この会社には色々な人がいるが、この鈴木さんを採用したことは、工藤にしては非常にポイントが高いのではと良太は思う。
 品がいいだけではない、育ちがいいというか、どんな人間にも分け隔てをしない。
 パソコンのアプリも懸命に勉強して、今やエクセルの達人という頑張り屋はそのまま鈴木さんに返したい。
 言葉遣いは丁寧だし、欲がない、優しい、何より、多少のことでは動じない。
 何しろあの工藤に、小言と思われないような口調で小言を言うし、工藤も鈴木さんには頭が上がらないようで、言われると大抵素直に従う。
 それだけでもすごいと良太は感心する。
 そんな人がこの会社にいることも、縁てやつなのかな。
「こんにちは~」
 鈴木さんと良太がお茶を飲みながら昔のことなんかを話していると、オフィスのドアを開けて美人が一人入ってきた。

 


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