秋の陽4

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「撮影、終わったんですか? お疲れ様です」
 良太も立ち上がって歓迎した。
「ここのプリン、美味しいのよ」
 万里子はパティシェリーの紙袋を良太に差し出した。
「うわ、ありがとうございます万里子さん! 今お茶いれます」
 鈴木さんは新しい花瓶をキッチンの棚から出して、万里子から受け取った花を鼻歌混じりで活けて大テーブルに飾った。
「珈琲入りましたよ」
 良太は珈琲を入れて早速プリンと一緒にテーブルに置いた。
「いい香り」
 窓際の大テーブルに座っていた万里子は、良太が出した珈琲を美味しそうに口にした。
「良太ちゃんて野球やってたんだよね?」
 向かいに座ってプリンを堪能していた良太は、万里子を見た。
「ええ、ガキの頃からずっと大学までやってましたけど」
 すると万里子はフフフと笑う。
「今度の映画でね、あたしセーラー服着たんだよ、高校生のシーンで。恥ずかしかったけど、少しだし、ほら、画面は加工されるから」
「絶対見たいです」
「そう、あたしが野球部のマネージャで、彼が野球部のピッチャーなのよ」
「ほんとですか? 俺もピッチャーだったんですよ」
「だったわね。きっと可愛かったでしょ、良太ちゃん」
 さっき鈴木さんに言われたようなことをまた言われ、良太はまたハハハと空笑いする。
「あ、そういえば」
 急に万里子が何かを思い出したように、声をあげた。
「ちょっと昔のことを思い出したのよ。あの時もロケで撮影してたんだけど」
「何ですか?」
 良太はスプーンを持ったままキョトンとした顔で尋ねた。

 


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