幻月15

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「工藤はその通りのことを取り調べでも話したが、端から工藤を犯人と決めつけている警察は耳を貸さないようだ」
「六本木のクラブ『ベア』も松下美帆も記憶にありませんね。少なくともチーママの証言というのは勘違いか、偽証でしょう」
 ややあって秋山が断言した。
 良太は秋山の話を信じた。
 というより、工藤がはめられたのであれば、その松下美帆と付き合っていたという事実もないのだ。
 良太は拳を握りしめた。
「おそらく……工藤の友人として言えば、この手の女に工藤が興味を持つとは思えない。何らかの事件に巻き込まれたか、何らかの理由ではめられたか、どちらかだろう」
 小田が言った。
「警察はそのクラブのママとの痴話喧嘩で工藤さんが殺したとかミスリードされているうちは、真犯人には辿り着けない、いうことです。つまり初動捜査の段階で後れを取っているわけです。こっちは工藤さんははめられたという大前提で動きますから先に真犯人に辿り着きますわ。ただし、もう迅速に動かんとあきまへん」
 千雪はいつになく言葉がきつかった。
「良太、テレビ、WIFI繋がっとるよな?」
「あ、はい」
「パソコン、ちょっと貸してや」
 良太は慌てて自分のノートパソコンを千雪に渡した。
 千雪は、パソコンに自分の携帯をつなぐと、画像データを次々と大画面に映し出した。
「これが殺された六本木のクラブ『ベア』の松下美帆」
「被害者の美帆のことは、捜査一課の渋谷さん脅して聞き出したんで、『ベア』の周辺、ダチに探ってもらってます」
 皆が一斉に千雪を見つめた。

 


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