幻月18

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 おそらく千雪も同じなのだろう、あの素早い行動力は警察の無能さを一刀両断するくらいの怒りが感じられる。
 良太も無論そうだが、怒りより前に工藤のことが心配だった。
 仕事ができない上に、くだらない警察の尋問を受けなくてはならない。
 何者が何のためにこんな茶番を仕組んだのか。
 仕事上でも確かに敵は多いだろうが、よもや工藤に濡れ衣を着せて殺人犯に仕立てるような面倒な真似をするものだろうか。
 まあ、鴻池あたりならやろうと思えばやれるだろうが、実在の人間を駒に使ってドラマでも創りそうな男だし。
 ただし、鴻池は工藤に対して異様な執着を持っている。
 工藤に最後通牒でもつきつけられようものなら、回避のために何でもやりそうだが、工藤に不利になるようなことは金輪際しないだろう。
 とにかく、わかっている。
 工藤が仕事ができない間は、自分が何とかしなければならないのだ。
 しかしただでさえ人手不足の上に、工藤の仕事を背負うとなると、よほどスケジュールを調整してかからなければならない。
 すぐにでもそれをやるべきなのはわかっていたが、他にも良太には気になることがあった。
「良太くん、工藤には今君が頼りだ。事件の方は我々に任せて、留守中の会社のことは頼むよ」
 小田に声をかけられて良太は顔を上げた。
「はい、よろしくお願いします」
 良太は深々と頭を下げた。
 今の自分にはそのくらいしかできない、それがもどかしかった。
 小田が帰っていくと、秋山が良太の肩をポンと叩いた。
「良太が元気をなくしてちゃ、この会社ボロボロになるって、前に言っただろ? 工藤さんのいない間の仕事をどうするかだ。及ばずながら俺も動くから、アスカさんはあれでしっかりしてるから、一人でも動けるし」

 


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