幻月40

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 良太と千雪は事務所を出ると、階段を降りて駐車場に向かった。
「千雪さん、友人の方が、警備会社に潜り込んでるって?」
 ヘルメットをかぶろうとした千雪に、良太は聞いた。
「ああ、それな。小田先生の前やからそない言うたけど、ダチの知り合いでな、ほんまはハッキングや。かなりの使い手やから足がつくようなことはない思うけど、どやろ」
「え、それでいいんですか?」
 呆れて良太は聞き返す。
「それはそいつの問題やしな。今回、四の五の言うてられへんから」
 千雪は平然と答えた。
「なあ、良太、ひょっとして」
「はい?」
「例の影の男て、MEC電機の人?」
「え?!」
 驚いて良太は取り繕う間もなかった。
「男の写真に、急に入ったCMの仕事、良太、丁寧に工藤さんに伝えてくれて真剣やったから」
 さすが名探偵というべきか。
「あ、でも、ちょっと、詳しいことは………」
「わかってるて。言わんでええ」
「ただ、千雪さんに真犯人に辿り着いてほしいって言ってました。千雪さんが早々に動いていることも知ってました」
「そうか。とにかく通用する証拠か真犯人が必要やからな」
 千雪はヘルメットをかぶり、バイクのエンジンをかけた。
「また連絡するわ」
「俺も。よろしくお願いします」
 バイクが走り去ると、良太も車を出した。

 


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